Elizabethan & Jacobean style
エリザベサン&ジャコビアン・スタイル (1560~1660年)

エリザベス女王I世、及びジェームズI世(イングランド&アイルランド王)の時代に建てられた、この時代の富と贅を細部にまで施した豪勢なデザインを取り入れたスタイルで、主に王宮建築や貴族の建物に多く見られます。「ジャコビアン」とはジェームズをヘブライ語形「Jacob」と呼ぶところからきています。
エリザベサンとジャコビアン、この2つのスタイルは、外観や内部に使用されている物はほとんど同じで、英国人でもこの2つのスタイルを見分けるのは難しいと言われているのですが、面白い特徴の一つとして上から見た時の建物の形が挙げられます。
この時代の建物は大きく分けて、カタカナのコの字形、口の字形、またはアルファベットのH形、E形の4種類の形状に分類されることが多いのですが、なんとエリザベサン・スタイルの建物は Elizabeth の頭文字をとった「E」形の建物が多いことです。これにはさまざまな理由があり、他のどの形状よりも太陽の光や風が正面から裏へ抜けるのが良いという発想から生まれたということや、エリザベス女王を崇拝する者、もしくはエリザベス女王に喜んでもらえるよう、敢えてE形にしたとも言われています。
共通の特徴としては、まず外観の四隅または二隅に塔(タワー)を配置していることです。
これは左右対称を強調する効果のほか、建物がより大きく安定して見える技法として取り入れられたデザインです。また、チューダー時代よりも窓を大きく取るために、「Transom (トランサム)」という明かり採り窓を縦長窓の上に連結させて、縦方向に大きな窓を作りました。
この他、細かい特徴として、紋章や建物の建った年号を玄関ポーチ上部や外壁、室内のマントルピース等に刻んだりすることも流行しました。
インテリアでは、凝った彫刻の施された階段材や、石膏やモルタルで幾何学模様の凹凸
装飾のあしらわれた天井やゴシック建築の天井を平らにしたようなデザインなどが豪華な印象を与えました。